進研ゼミの小学生講座の口コミ(評判)について、塾講師歴10年間の経験を通じて感じた保護者の見解、講師としての見解、小2娘の父親としての見解についてお答えします。
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また、進研ゼミに限らず、通信教材全般的な傾向を踏まえた上で、こららの教材との上手な付き合い方や活かし方をご紹介します。
<対象としている読者>
・これから塾通いを考えている
・通信教材を始めようと考えている
・家庭学習で困っている、不安がある
<この記事を読んで得られる情報>
・通信教材に対する全体的な傾向(口コミ・評価)
・塾にすべきか、通信教材にすべきか判断の参考
・通信教材の上手な活かし方
通信教材利用者の全体的な傾向と口コミ
ここでは、進研ゼミに代表される「通信教材」利用者の全体的な傾向や塾講師として、小学3年生から中学3年生までの保護者面談で伺った家庭での利用状況について、過去10年間の経験からお話しようと思います。
中1までに過半数、中3で約8割が脱落する
結論から御伝えしますと、(あくまで感覚ですが)中1までに過半数、中3までに8割以上の生徒さんが通信教材を卒業します。
それほど、通信教材のみで学習を継続することが難しいということの答えであると思っております。
<塾の面談でよくある会話>

ご家庭では、これまで学校以外の学習経験はありますか?

今まで、通信教材をしていたのですが・・・

(提出せずに)溜まってしまうんですよね。

そうなんですよ。言っても中々自分からやらなくて・・・
私が教室長として面談してきた家庭は、塾の体験を検討している方が主ですので、通信教材で上手くいかなかったから、塾を検討していると考えれば、当たり前と言えば当り前の結果です。こんなやり取りは日常茶飯事でした。
少し、古いデータになりますが、東京都の小学生と中学生の「通塾率」を参考にしています。私が教室長を務めていたときの感覚とも一致します。また、通塾率に限らず、学校以外の学習実態調査も参考にしています。塾通いをするということは、ほとんどの場合、通信教材を辞めることに繋がります。
子どもの学校外での学習活動に関する実態調査報告(文部科学省2008年)
通信教材が上手くいかない理由
通信教材を途中で辞めてしまう理由は幾つか考えれますが、傾向として一つ言えることは、学習難易度が上がるにつれ、自力でやることが困難になることが挙げられます。具体的には、小学5~6年生の高学年からその傾向は顕著となります。以下に例を示します。
<小学5年生の算数の指導内容>
・小数の計算(掛け算・割り算)・計算の順序(分配法則)
・分数の計算(通分・約分・足し算・引き算)・倍数と約数
・平均 ・単位量あたりの大きさ ・割合 ・比例
・合同な図形 ・さまざまな図形の面積
・直方体や立方体の体積 ・単位換算(㎥・㎤・ℓ・㎖)
内容がこれくらいになってくると、家庭で教えることが難しくなってきます。公文などの計算メインの添削指導が機能しにくくなるのも、この辺りからです。また、子供も年を重ねるに連れ、親に教えてもらうことを嫌がる子は増えてきます。
単純にあてはめるだけで答えが出てくるようなものではなく、「読解力」「思考力」など、論理的に考える力がないと、多くの場合この辺りでつまづきます。
つまり、どんなに分かりやすい参考書や説明があったとしても、子供がそれを読み解き、理解できなくては、自力で解くことは不可能となるのです。
通信教材を活用できる子達は、基本的に優秀生
多くの生徒さんが、通信教材で挫折する中、稀に中3まで通信教材のみで学習を続けている子が、塾の夏期講習に突然やってくることはよくあります。
彼らのほとんどは、基本的に5教科(英・数・国・理・社)の成績が最高評価、もしくはその次の評価を学校でもらっています。そして、何年も通塾していた生徒たちをあっさり抜き去り、メキメキと偏差値を伸ばしていくことも珍しくありません。
その理由は簡単です。
自分で学習する素地が出来上がっているので、質の良い教材や指導を受けることによって、簡単に自分の力にすることができるからです。
上手に活かせると、こんなメリットがある
では、通信教材を上手く活用できるとどんなメリットがあるか、整理をします。私は、どの家庭も通信教材を積極的に活用するべきだと考えています。
なぜなら、学校学習を通じて、勉強方法を確立していく上で必要最低限の要素が、すべてここに詰め込まれているからです。
タブレット型や冊子タイプ等、最近はサービスも充実し、内容もどんどん良くなっています。そこに、大きな差はないと個人的には考えています。進研ゼミの通信教材は小学生講座から、地域の学校テキストに合わせて作られており、難易度のバリエーションも豊富です。量こそ少ないものの、履修すべき内容はしっかりカバーしていると言えます。
メリット① 学習に掛かる費用の低減
一般的に、学校以外の学習をしようと考えたら、掛かる費用の大小関係はは以下のようになります。
家庭教師 > 個別指導塾 > 集団指導塾 > 自習塾 > 通信教材 > 市販教材
勿論、様々な教育サービスがあり、その内容や費用も多種多様なので、一概には言い切れませんが、基本的にはこの並び順になります。
当然のことながら、サービスの手厚さもその逆になるのは明確と言えますが、最も最良なのは「何も利用しないこと」です。ただ、受験に関する情報や知識、ノウハウはどうしても個人では限界があります。然るべきタイミングで、頼るべきサービスを利用することが理想的ですが、抑えるに越したことはありません。
私が以前勤めていた塾は、中学生の集団授業で年間30~50万くらいの費用が掛かっていました。それでもかなり安い方だと評判の塾でした。仮に中1から塾通いを始めたら、3年間で最低でも100万円は用意したいところですが、進研ゼミであれば、3年間で23万円ほどしか掛かりません。
メリット② 学習スタイルの確立
費用が掛からないことよりも、こちらの方が圧倒的に重要です。自分の学習スタイルは、その子の勉強方法となり、その後の人生でも一生役立つスキルになるからです。
・自分で勉強のスケジュールを立てられる
・自分なりの暗記方法が確立されている(工夫できる)
・解説を理解し、できていない部分を把握する
・課題を自ら発見し、達成に向けて計画を企てる
勉強や受験はあくまで手段です。これらの能力は、仕事を行う上でも基本的なサイクルですから、そういう意味でも「自学自習」できることは大きな糧となります。
そして、強調しておきたいことは、「通信教材」は適度に勉強の手伝いをすることで、この「自学自習」する力を伸ばすのに大変役立つということです。何事もそうですが、手取り、足取り面倒を見ることが、必ずしも本人の為にはならないのです。
そういった観点からも、早い段階からその練習をすることが重要であり、進研ゼミの小学生講座等の通信教材は、学校の進度よりほんの少し先を進めてくれるため、非常に扱いやすい教材であると言えます。
通信教材で失敗しないためのコツ5選
できることなら、通信教材のみで完結することが理想と言えます。しかし、それが中々難しいということも事実です。
では、どうすれば上手くいくのか、ということについて塾講師時代の経験と自分が保護者として子供と接している中で、有効だと思ったことについて、5つに絞って解説していきます。
POINT① 干渉し過ぎない
子供の勉強ぶりを見ていて、口を出したくなる気持ちはとてもよく分かります。私も、娘の勉強の様子を見ていると、つい口を出してしまうことがあり、後で反省します。
・鉛筆の持ち方 ・字が汚い ・雑
・見直しをしない ・ダラダラやっている
・いつまで経っても勉強を始めようとしない
等々、挙げたらきりがありませんが、自分の時と比べたり、理想的な姿とかけ離れた行動を目にしたりすると、ついつい口を出し、あれこれ指示を入れたくなります。
しかし、この「あれこれ指示」することが、子供の勉強意欲を最も削ぐ行為だということを忘れないでください。指示は自分の思い通りにさせるための命令です。
命令されることに慣れてしまった子は、指示がないと自分でできない、あるいは反発して言うことを聞かない等の行動にでる傾向があります。どんなに子供の為を思っていたとしても、強い口調での命令はグッと堪えてください。
彼らが取り組んでいる事柄は、彼らのものであり、彼らの人生の一部です。勉強することを、自分事として思えない限り、自ら学び、それを自分の糧とすることができなくなってしまいます。親ができることは、助言と手伝いのみと考えましょう。
POINT② 完全に放置しない
先程の説明と真逆ですが、完全放置もハイリスクとなります。それで、スクスクと力を伸ばす子もいますが、通信教材を与えるのみで誰もが効果が出るのなら、苦労しません。
例えば、子供が今、どの単元の勉強をしているか把握できているでしょうか。いつも何時頃に勉強を始め、どんな手順で、どんな様子で進めているでしょうか。
干渉するのではなく、把握することが重要です。ただ、興味と関心を示すのみで構いません。全く知らない間に、手遅れになってからでは取り戻すのに苦労します。
バランスの取れた接し方を丸付けを例に示していきます。
<丸付けについて>
・最初は手伝ってあげましょう。(特に新出単元)
・但し、できていない箇所は叱らない。
・分かってない場合は、可能な範囲で教える。
・後述しますが、過度に褒める必要もありません。
ほとんどの子が、最初は合っているかどうかなんて気にしませんし、復習を自分から計画するなんてことは不可能です。しかし、本来は自らやるべきことです。間違っていたら、なぜ間違ったのか、自分で原因分析をする習慣をつけるため、自分でできるようにならないと自学自習はできません。
進研ゼミ等の通信教材は、反復学習やそもそもの課題量があまり多くありません。市販教材を復習用として用意し、自分で〇付け練習する等が良い方法です。学年が上がるにつれ、徐々に全体的に自分でやらせることが理想です。
勉強の計画の立て方、勉強するペースや時間帯、どこで勉強するか等、同じようにあてはめて、最初は一緒にやると良いでしょう。その過程で「最終的には本人に決めさせる」ということを忘れないでください。親は、有効な方法や助言を与えるだけです。納得させることが重要です。
POINT③ 賞罰を与えない

「××点とれなかったら、□□禁止だからね」

「〇〇までに終わったら△△を買ってあげる!」
信賞必罰という制度はどこの世界にもありますが、これを親が子供にやることは、あまりお勧めしません。理由は簡単で、多用し過ぎて効果がなくなるからです。たまに、お遊び程度なら構いませんが、頼ることは避けましょう。
即効性があるので、ついやりたくなる気持ちは分かりますが、本来、勉強は科目問わず、自己研鑽として行うものであり、「報酬があるから」「罰が嫌だから」やるものではありません。主体性や知的好奇心を削ぐ行為なので絶対にやめましょう。
POINT④ 結果について評価しない
賞罰と関連して「褒める」ということも気を付けましょう。「褒められたいから勉強する」は違います。「褒めた行為=親が正解と見なした行為」と受け取った子供は、正解のみを求めるようになります。特に「誰かと比較して褒める」「点数や結果を褒める」は、その最たる行為と心得てください。

頑張っている姿を見て嬉しくなったその気持ちをそのまま伝えた方が良いです。応援したい気持ちや、微笑ましく思う気持ち、それをそのまま伝えてあげてください。
まとめ
ここまで、通信教材の現状→失敗が多い→その理由→失敗しない方法について、説明してきました。最後に、本記事のまとめとおまけを追加しておきます。
・通信教材は過半数が上手く扱えず、塾にシフトする
・しかし、使い方を間違えなければ自学自習力が育つ
・その仕組みづくりは可能な限り、早い方がおススメ
・進研ゼミの小学生講座など、学校準拠の教材を使用
・保護者が良きコーチであり、勉強の相談相手となる
特に最後の項目が重要ですが、通信教材を使いこなすためには、「子供が分からない場合に、教えることができる人が家庭にいる」ということも、大切です。難易度が上がって教えることが難しいときや、そもそも通信教材がお手上げの状態であれば、第三者の指導を頼るのがベストと言えます。これまで順調だった子が、つまづき始める小5、中1の2学期が大きな分岐となりますので、参考にしてみてください。

30代会社員、web.contents.creater&ヨモギ研究家。参加サークルで小説を書いている。塾講師歴10年、2019年退社。その経験を活かし、教育関連のコンテンツや記事を作成。
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